インタビュー

LA起業家三木アリッサが若手に贈る”ハリウッドで成功する3つの秘密”とは?

多国籍国家であるアメリカは一見移民を多く受け入れているように見えますが、実は移住する際は乗り越えなればならない壁が沢山存在します。

その困難を乗り越え、さらに日本の和菓子文化の代表として渡米し、起業した日本人女性がいます。

言葉も文化も違う中で一人懸命に「日本の和菓子文化」を広めるべく全く人脈も、友達もいない中、スーツケース二つだけ握りしめロサンゼルスで和菓子ブランド「Misaky.Tokyo」を創業した「三木アリッサ」さんをご存知でしょうか?

彼女は、Forbes Japan 女性100人に最年少で選ばれ、これまで多くのビジネスを日本で成功されてきました。日本で成功したキャリアがあるのにも関わらず、それを捨て、異国で創業し、わずか1年でキムカーダシアン とのコラボを実現。

今回はこの三木アリッサさんを迎え、渡米経歴や日本人学生が渡米し就職する方法についてお伺いしました。

プロフィール

三木アリッサ Co-Founder CEO / Misaky.Tokyo

Forbes Japan 地球で耀く女性100人最年少選抜(2018)/ Business Insider Japan Game Changer 2019

新LVMHグループを作るべく‘日本の伝統×ラグジュアリー’をテーマにロサンゼルスにて和菓子D2C「Misaky.Tokyo」など展開。シュレックを手がける‘ドリームワークス’本社での販売他、トランプ大統領保有の高級ゴルフ倶楽部にて30社ほどしか選ばれない公認ベンダーにも認定。現在、Tiktok10万人のフォロワーをもつ。

渡米した理由と経緯

Q. 先日キムカーダシアンとのコラボを実施されたと発表があり、同じ日本人として驚きと感動をいただきました。とても嬉しく思います。Misaky Tokyoについてご紹介と、どんなコラボをされたのかお伺いできますか?

ありがとうございます。私自身創業1年で世界的アーティストとコラボレーションまさかできるとは思っておらず、まだ実感が沸いていません。本当にありがたいことです。

Misaky TokyoとはLAを中心とした和菓子D2C(消費者に対して商品を直接的に販売する)ブランドです。

今回、キムカーダシアンのブランドである「KKW Fragrance」から弊社宛にコラボの提案をいただきました。内容としては、KKW Fragranceの限定顧客向けPR BOX製作に弊社のオリジナル和菓子をベースにコラボレーションセットを提供しました。世界各国から沢山の反響があり、またメディアからも注目をいただきとても嬉しく思っています。

Q. 和菓子を日本ではなくアメリカで展開された理由はなんですか?

私自身、「日本の伝統を世界に」を考えるにあたってどうしてもマーケットの大きい場所で勝負する必要性があるなと思ったからです。

というのも、元々この事業を始めようと思ったのが、母がアーティストで全然儲かっていなかったんですよ。それが子供ながら悔しかったんです。日本には世界に誇れるアーティストさんが沢山いらっしゃるのにもかかわらず、全然儲かってない現状をなんとかしなきゃいけないなと思って始めました。

これまでのキャリアでも日本酒のベンチャーとかあるいは藤巻百貨店で職人さんを中心としたEコマースでオークション事業の開発とかをしてたんです。そこでやっぱり気がついたのは、少子高齢化でシュリンクしていく日本で勝負していくの未来がないように感じたんです。世界にこの素晴らしい方々の才能や努力を連れていかなきゃいけないなと思い、アメリカで勝負することにしました。

Q. 渡米は大変だと聞きますが、どのように準備されましたか?

私は7年かけて今回の起業を準備しました。何もスキルがないまま渡米するのはリスクがあるので、戦略的にキャリアをグローバルにチェンジするかっていうことに力を入れました。

Misaky Tokyoの提供するオリジナル和菓子(Crystal Treats)

起業に至るまで

Q. その「戦略」というのは?

まず最初に、職人さんのビジネスを知る必要があると思い、日本で日本酒のベンチャーや伝統工芸品のECを展開する藤巻百貨店で新規事業の開発をしました。おかげさまで多くの結果を残すだけでなく、直接職人さんとお話しすることで、職人さんたちが抱えるグローバリゼーションという課題を目の当たりにすることできました。

しかし職人さんを海外に連れて行きたくても、アメリカで戦うにはまだ実力不足で迷惑をかけると思い、まずは「グローバルローカライゼーション」が上手な国を学んでからアメリカに行くべきだと思い、世界的にグローバルローカライゼーションの上手な国イスラエルに行きました。

Q.「グローバル・ローカリゼーション」とはなんですか? 

これは、世界統一ブランドを保有しながらも、各国の文化に合わせたマーケティングコミュニケーションを行っていく戦略です。

例えば、チョコレートブランド「キットカット」は、世界共通の名前ですが、実は各国で味が微妙に違い、コミュニケーションも違います。日本だと「きっと勝つ」とのシャレが転じて受験祈願用のチョコレートとして有名ですが、アメリカやヨーロッパではもちろんこのコミュニケーションはしていません。

そして、イスラエルの専門商社へ行き、そこで私が担当していたプロダクトを過去最高売上の12倍に更新しました。イスラエルは実は四国と同じくらいのサイズの一方でマーケットが大きく、資金調達も日本の1.3倍と費用対効果が大きい国です。そこで気が付いたのは、イスラエルの成功の秘訣はは最初からマーケット規模が大きいアメリカや中国で挑戦しているからということがわかりました。

その点日本は「国内で成功してから海外に行く」会社さんが多いものの、日本は世界と比べてユニークな文化を持っているため、グローバル統一ブランドを作ることが難しいと感じました。そこでイスラエルのように最初からアメリカで挑戦してみようと思いました。

しかしながら、いきなり起業だとスキル的にも太刀打できないと思ったので、まず前職でアメリカ法人の立ち上げに挑戦しました。

具体的にはディズニーさんと日本で一緒に作ったプロダクトをある種逆輸入(日本で作った製品のアメリカ投入)しました。そこでアメリカでのマーケティングの方法を勉強させていただきました。

Q. その後すぐにアメリカで起業したんですか?

はい。でも、実は起業する前にもう1社アメリカ現地企業で日本担当を経験したいとは思っていました。しかし、雇ってくれる会社が全くありませんでした。自分で言うのも恐縮なんですが、Forbes Japan女性100人に最年少で選抜されているし、数々のプロジェクトも結果を残したのでどこか雇ってくれると思っていました。しかし、全く就職できなかったんです。

この挫折をきっかけに、悔しかったのでいっそのこと起業してしまおう!と思い立って起業しました。

起業当時、今みたいに綺麗な商品ではないし、全然美味しくもなくて、箱も変なプラスチックにシールを適当に貼りつけたみたいな残念なクオリティーでした(笑) 

しかも当時資金調達もできておらず、会社が大きくなるまでは、フルリモートで日本の会社でお仕事をいただきながら生活費を稼いでいました。それが、かなりヘビーで、朝9時から昼の12時まではレシピ開発をし、昼の12時から夜の2時までは日本の仕事をしました。

もっと赤裸々な話をすると、アメリカに貯金200万円だけを握り締めて来ましたがビジネスをしていると300万なんてすぐ消え、最後10万になりました。来月生きていけない!となった時に「クレジットカードでもう限界金額まで使ってしまおう」とか「借金するか」とも思いましたが、やはりアメリカに来たばかりだったので保証もなく借金できず、またアメリカの会社なので日本政府からの援助もありませんでした。

そんな時、投資家さんが資金を調達してくださり、そしてちょうどクリスマスの時期で売上アップし、それをみた他の投資家さんも投資してくれて首の皮一枚つなぐことができました。

つまり、戦略的に行動をしても、アメリカで暮らすということはかなり苦労するんです

ーー大人になってからアメリカに住む・就職するのは大変なんですね。


はい。一度日本に帰ってしまうと、アメリカ国内企業での就労実績がない限りアメリカでの就職はかなり難しいです。私の知人で世界最高峰の大学であるイエール大学出身、かつMBA(経営学修士)を取得した超エリートの方も卒業後日本に帰国してしまい、アメリカでの就職を5年試みても雇ってもらえる企業が見つからないという人もいるくらい厳しいです。

日本人としてアメリカで就職する方法 留学/実績/インターン

Q. アメリカ国籍を持たない日本の若者がアメリカで就職するためにすべき行動はなんですか?

まず、第一ステップは留学です。特にアメリカで大学卒業後働きたいのであれば、4年間アメリカの大学生として正規留学することをおすすめします。

正規留学と聞くと、かなりハードルが高くて「無理だろう」と挫折してしまう高校生は少なくありませんが、成績優秀でなくても入れる方法はいくつかあります。例えば、アメリカの2年制大学に入学し、卒業後に4年制大学に編入するケースはアメリカでは一般です。

第二ステップは、数字に見える実績を作ることです。なぜ、「数字」にみえる実績が重要なのかというと、数字さえあれば一定評価を受けることができます。人々の「評価基準」は万国共通で、「これだけ実績を出してます」という部分に納得性をつけないといけません。そこで、納得性をつけるために数字が必要なんです。

アメリカに大学卒業後アメリカで働きても、雇ってもらえるのはたった一握りなのが留学生の現実問題です。なので、Aさんでもなく Bさんでもなく、なぜ自分が雇われなきゃいけないのかという武器を大学生1年生からできるだけ早く準備してたほうがアメリカに残れます。

そして、第三ステップは、ビザサポートしてくれる企業でインターンを経験することです。アメリカでは、特に外国人だと就労経験がないまま正規雇用してもらえる可能性は極めて低いです。なので、大学在学中に自分の専攻に関わるインターンをパートタイムでし、OPTの期間をうまく活用することが重要です。

Q. OPTとは?なんですか?

OPT(Optional Practical Training)とは、1年以上大学に通った場合、卒業後に1年間フルタイムで就労できる制度です。その1年間で、外国人向けにビザサポートをしている企業にインターン生として入り、成果を出してそのまま正規雇用というのが理想の流れです。

一方で、全ての企業がビザサポートできるわけではなく、企業体力があるところでなければビザサポートはしてもらえません。そして、仮にインターンをした会社が合わないと思ってもアメリカでの就労経験が1度でもあるとアメリカ国内の転職はしやすいので、アメリカに残りたいという目的は達成できます。

渡米してよかった点

Q. 渡米してプラスだと感じた点はなんですか?

渡米して良かった点は、やはりチャンスに溢れていることです。特に私が住んでいるロサンゼルスは場所柄セレブが多いので、渡米したことによってアメリカのセレブリティーと出会うチャンスが一気に広がりました。キムカーダシアン とコラボできたのも、アメリカだったからだと思います。。

もう一つすごく嬉しかったのが、挑戦する人に対して応援するような人が沢山いるということです。例えば、キックスターター経由で、「君面白いからご飯今度行こうよ」と世界的な企業の創業者に声をかけてもらい、今では弊社でアドバイザーをしていただいます。アメリカでは、正当に頑張っている挑戦者に対しては「がんばれがんばれ!」と応援する環境があります。

これはなかなか日本では体験できなかったことでした。きっと、アメリカ以上に挑戦している人を応援する国はないと思い、渡米してよかったなと心から思います。

「こうあるべき論」から外れる

Q. 日本の学生に向けて、なにか言いたいことはありますか?

どうか、「レール」に乗らないで欲しいと思います。

日本では「こうあるべき論」が沢山あると感じています。例えば、「大学受験をし、大学3年生で就活を始め、卒業後はすぐに就職するべきだ。」とか、「女性の場合は◯歳で子供産み、家庭も仕事も両立すべきだ」というのが無意識に存在すると思います。しかし、私の場合夢を実現するために、キャリアにおいては「こうあるべき論」から離れました。例えば、二つの会社を10ヶ月で辞め、その後も転職を1年ごとして世界を飛び回ったりしました。もちろん、周りから見ればゲテモノで馬鹿にもされていました。一つのキャリアをコツコツとしている人には、「あいつまじで転々とやりよって」と非難を数々浴びましたが、周りの目や家族の期待から離れたので当時も今も自分が本当にやりたい事に集中できています。

「日本の職人さんをを世界に連れて行きたい」という気持ちが芽生えてからこのキャリアを育ててきましたが、伝統工芸の分野で世界で活躍している日本人はほんと少ないです。それは、やはり日本の「こうあるべきだ論」から離れ、自由に行動したからこそ手に入れることができたのだと思います。

なので、若い子たちに言いたいのは、現在e スポーツ、ユーチューブやTiktokなどもがある時代において、レールから離れてとことん自分がやりたいことを突き詰めた方が活躍できるかもしれない未来やチャンスががあるということ。日々、テクノロジーが進化していく世の中においてどうか親御さんや周りの目を気にして自分が追いかけている夢を止めるということをしないで欲しいでです。

ーーゲテモノでいいと。

ゲテモノを突き詰めると、プロになるんですよ(笑)

私も職人さんの世界で経営をしている中で、プロフェッショナルになってきたと感じています(笑)

Q. 最後にひとことお願いします!

夢はね、叶うんですよ。

そして、その夢を叶えるのは本人の粘り強さしかないんです。

私も、「あと貯金十万円しかない… ああ、どうしよう」と思ってる時も諦めませんでした。

「借金の方法考えようかな、もうちょっと仕事増やそう、親をどうやって説得させようかな」と考えているうちにLuck(運)が入ってきて、キムカーダシアン とコラボレーションをするという夢が叶いました。

自分の夢を諦めさせているのは、自分だけ。

がむしゃらさを持っている人はこの時代自分がしたいことで生きていけます。10年後笑うのは自分なので、最初はダサくてもいいんです。私も21歳の時ビジネスやり始めた時に周りの大学のクラスメイトにすごくバカにされましたが、否定する人はレールに乗ってるから否定しているだけ。安全な場所からわいわい言っているだけ。そんなガヤからあなたのエネルギーを奪われないでください。

おわりに

今回、アメリカで和菓子ブランドを起業した三木アリッサさんにインタビューしました。

「日本の職人さんを世界で活躍させたい」という夢を追いかける彼女から、レールに乗らないことの大切さやアメリカで就職するにあって学生である私が今すべきことを学びました。

三木さんのように自分の夢を粘り強く持ち、追求していきたいと思います。

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